社内SEへの転職が難しい理由とは?平均年収や30代・40代の転職可能性についても解説

社内SEへの転職が難しい理由とは?平均年収や30代・40代の転職可能性についても解説

社内SEへの転職を考えているエンジニアにとって、仕事の魅力はもちろん、転職の難易度や年収、社内SEのデメリットは気になるところではないでしょうか。
そこで、ここでは社内SEの具体的な仕事内容とやりがい、転職が難しいといわれる理由、平均年収、30代・40代の転職可能性、そして転職を成功するためのポイントなどについて詳しく解説します。
また、社内SEへ転職するデメリットについても取り上げるので、転職を検討してる方はマイナス点も考慮しながら準備を進めましょう。

社内SEとは?~仕事内容とやりがい~

SESやSIerのエンジニアとして働いている場合は、社内SEの具体的な仕事内容のイメージがなかなか掴みづらいかもしれません。
まずは社内SEの仕事内容と仕事のやりがいについて見ていきましょう。

社内SEの仕事内容

社内SEとは、企業内でシステムの開発や運用保守、管理などを担当するエンジニアのことをいいます
多くの企業では業務の効率化や情報の管理にITシステムを活用するため、社内SEは自社の業務に最適なシステムを開発したり(開発しない企業もあります)、それらの安定的な稼働を維持するために保守運用やメンテンナンスを行ったりします。

社内SEのやりがい

社内SEのやりがいは、企業内の業務効率化や生産性向上に直接貢献できる点にあります。自分が導入・管理するシステムが、実際に業務を円滑に進める助けとなり、その結果をリアルタイムで確認できることが大きなモチベーションとなります。
また、他部門と連携して課題を解決する過程で信頼関係を築いたうえで、企業全体の成長に寄与する実感を得られることもやりがいの一つと言えるでしょう。

社内SEへの転職は難しいといわれる理由

つまり、社内SEは一つの企業の中で、自社のIT課題に注力できる職種ということになります。職場や仕事内容が頻繁に変わるような状況が苦手なエンジニアにとっては理想的な職種ではありますが、気になるのは転職の難易度ではないでしょうか。
実際のところ、社内SEへの転職は次のような理由から難易度が高いとされています

求人数が少なく、転職は高倍率

社内SEのポジションは他のエンジニア職種に比べて求人数が少ない傾向があります。多くの企業では既存のIT部門が充実しているため、新たに社内SEを募集する機会が少ないのです。
そのうえ、社内SEは安定した職場環境や働きやすい労働条件が魅力的なため、多くの人が転職を希望します。その結果、高倍率となり、選考を通過するのが難しくなります。

専門知識と経験が必要

企業の業務フローを理解して最適なシステムを提案・構築しつつ、既存システムを維持・管理するほか、トラブルシューティング、他の部署や経営層、各ベンダー担当者と連携、予算管理などにも携わるため、複数の高度な専門知識と実務経験が求められます
そのため、新卒で一から社内育成されない限り、まったくのIT未経験者が社内SEに転職するのは非常に難しいと言って良いでしょう。

コミュニケーションスキルが重視される面接

高倍率となれば比例して面接の難易度も上がります。社内SEは多方面と話し合ったり交渉したりできるコミュニケーションスキルが重視されるため、人によっては高度なプログラミングスキルがあってもコミュニケーションの部分で及第点に至らないこともあるでしょう
また、企業の文化や業務プロセスに適応する能力も重要です。各企業のIT部門には独自の文化や働き方があり、それに適応できるかどうかも採用の判断材料となります。

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エンジニアの転職市場で社内SEに人気が集まる理由

前述の通り、社内SEへの転職は高倍率ですから選考には入念な準備が必要です。他のエンジニア職種と比べると面接回数が1回、2回多いことも珍しくありません。しかし、それでも社内SEへの転職希望者は増加傾向にあります。なぜこれほど多くの人が社内SEを目指すのでしょうか。その理由をいくつかの観点から見ていきましょう。

安定した職場環境

外部のプロジェクトベースで働くエンジニアと異なり、社内SEは社内で働くため、職場環境が安定していることは大きな魅力です。多くの場合は正社員として雇用されるので収入も安定し、長期的なキャリア形成が可能になります
また、社内SEは社内の他部署や同僚と長期的な信頼関係を築くことができます。人間関係が安定していることは、働きやすさに直結すると言えるのではないでしょうか。

ワークライフバランスを保ちやすい

社内SEの業務はシステム運用やサポートが中心であることが多く(開発業務がない場合)、急なプロジェクトの増加や納期のプレッシャーが比較的少ない傾向にあります。さらに、トラブル対応やメンテナンス作業が予測しやすいため、社内SEの働き方は比較的柔軟で定時で帰宅できる場合が多く、残業も少なめ。こうしたワークライフバランスの保ちやすさも人気の要因の一つです。

さまさまな社内業務を経験して幅広いスキルが身に付く

システム開発や管理、ネットワーク設定、セキュリティ対策、ユーザーサポートなど、さまざまな業務に携わることができるので、社内SEとして働くことで、ITに関する幅広いスキルを習得できます。

企業の成長に貢献できる

社内SEは企業のITインフラを支える重要な役割を担っています。自身が導入・管理するシステムが企業の業務効率化やコスト削減に直接影響を与えるので、大きなやりがいを感じられるでしょう。自社への貢献と、その結果が間近で見られるポジションであることは、エンドユーザーからの反応が得られにくい立場にあるエンジニアとって大きな魅力です。

キャリアパスの多様性

社内SEは社内PM(社内のプロジェクトマネージャー)やIT部門を統括するITマネージャーなどを経験した後、最終的には会社全体のIT戦略を策定・実行・指導するCIO(Chief Information Officer)といった上級管理職へのキャリアパスにつながることがあります。特定の技術分野に特化することで、スペシャリストとしての道を歩むことも可能でしょう。
社内SEの業務は単調だと思われがちですが、職位が上がっていけば会社の経営に大きな影響を与える仕事もできるのです
さらに、社内SEとして業務プロセスの理解やIT知識を深めれば、企業のIT戦略策定やシステム導入支援を行うITコンサルタントへ転身も考えられるでしょう。システム開発の経験を積めば、システム全体の設計や新技術の導入を担当するシステムアーキテクトへの転身も可能です。

社内SEの平均年収~大手企業や外資系企業なら1000万円以上も~

社内SE平均年収は一般的には300万円から1000万円であることが多いようですが、実際には企業の規模や業界、経験年数、スキルなどにより大きく異なります。
では、社内SEの平均年収について、いくつかの分類に分けて確認していきましょう。

経験年数別

・新卒・未経験者
新卒・未経験の社内SEの年収は300万円から400万円程度が一般的です。企業によっては研修期間中の給与がこれより多少低く設定されていることもあります。

・経験者(3~5年)
経験を積んだ社内SEの年収は400万円から600万円程度。この段階に入ると特定のスキルやプロジェクト管理能力が求められ始めます。
この時点である程度のスキルが身に付けば他社(SESやSIer)に転職することもありますし、他のエンジニア職種へ転向する人もいるでしょう。こういった理由で社内SEに欠員が発生すれば、転職サイトや転職エージェントを通して求人が出るわけです。

・中堅(5~10年)
中堅の社内SEは600万円から800万円程度であることが多いようです。中堅になるとチームやプロジェクトの管理、メンバーの教育の役割も求められるようになります。

・上級(10年以上)
経験年数が10年以上となって上級管理職のポジションに就いた社内SEの年収は、800万円から1000万円以上になることがあります。特に大手企業や外資系企業ではこの傾向が顕著であり、仕事の成果や会社の業績によってはこれ以上の額になることも。

業界別の年収傾向

・IT業界
IT企業の社内SEの平均年収は600万円から800万円程度。この業界では技術革新が激しく、専門的かつ高度な知識とスキルが常に求められるため、社内SEの年収は比較的高くなる傾向があります。

・製造業界
製造業の社内SEの平均年収は500万円から700万円程度。業務システムの開発や生産管理システムの導入に社内SEが重要な役割を果たします。

・金融業界
金融業界の社内SEの平均年収は700万円から900万円程度。外資系金融機関であれば1000万円以上はさほど珍しくありません。セキュリティやデータ管理が非常に重要視されるため、専門知識を持つ社内SEにはそれなりの給与が支払われますが、要求されるスキルレベルもかなり高度な点は留意しておくべきでしょう。

・サービス業
サービス業界の社内SEの平均年収は500万円から700万円程度。顧客管理システムやERPシステムの運用が中心となります。

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社内SEへの転職を成功させるポイント~必要なスキル・経験は?~

社内SEへの転職を成功させるためには一般的に3〜5年の実務経験が求められることが多いです。この程度の経験があればエンジニアとして独り立ちできるスキルがあると認識されますし、人によっては社内外の関係者との交渉やメンバーのマネージメントを経験していることもあり、「比較的若手かつエンジニアとしてのスキルもある」という転職市場では最も需要がある層だからです。
しかし、エンジニアの経験があるといっても。スキルレベルは今までいた業界や業務内容によって実にさまざまですから、ここでは社内SEへの転職で求められるスキルにフォーカスして解説しましょう。これらのスキルが揃っていることがそのまま、社内SEへの転職を成功させるポイントになります。

技術面のスキル

・システム管理スキル
前述の通り、社内SEは企業内のITシステムの運用・保守を担当しますから、システム管理のスキルは必須です。具体的にはWindows ServerやLinuxの管理、ネットワークの設定、データベースの運用などが含まれます。

・セキュリティ対策スキル
企業財産・価値をあらゆるサイバーリスクから守る”砦”となる情報セキュリティは企業にとって非常に重要です。ウイルス対策、ファイアウォール設定、アクセス権管理など、セキュリティに関する総合的な知識と経験が求められます。

・プログラミングスキル
Java、Python、C#などのプログラミングスキルはあった方が転職しやすいのは間違いありません。特に社内でシステム開発まで行っている企業の社内SEに転職を希望する場合、プログラミングが可能かどうかは必ず問われます

業界・業務に関する知識

・業界と業務プロセスの知識
社内SEはその業界や企業の業務プロセスを深く理解し、それに基づいてシステムを最適化する必要があります。具体的には業務フローの分析や要件定義を行い、業務効率化を図る能力が求められますから、応募する企業の業務内容は徹底的に調べましょう。

・プロジェクト管理スキル
プロジェクトの計画、進捗管理、リスク管理など、プロジェクト管理のスキルも重要です。PMP(Project Management Professional、プロジェクトマネジメントの知識やスキルを証明する国際資格)などの資格を持っているとスキルのアピールにつながります。

ソフトスキル

・コミュニケーションスキル
社内SEは他部署や経営層との連携が欠かせません。技術的な内容を分かりやすく説明する能力や、他部署のニーズを正確に把握する能力が重要です。良好なコミュニケーションは、円滑なプロジェクト進行に直結します。

・問題解決能力(トラブルシューティングのスキル)
システムトラブルや業務上の課題に迅速に対応し、効果的な解決策を見つける能力が求められます。論理的思考や分析力を活かして、問題の根本原因を特定し、適切な対策を講じることができる能力が重要です。

社内SEへの転職は30代、40代でも可能?

エンジニアの転職市場において最も需要が高い年代層は20代後半から30代前半といわれていますから、社内SEへ転職するのであればこの年齢の頃に行動を起こすのがベスト。
しかし、SESやSIerで一通りの業務を経験し、30代後半~40代で社内SEへの転職を検討しているエンジニアもいるでしょう。
この点、結論から言うと30代後半、40代でも社内SEへの転職は可能です。ただし、若手とは求められるスキルや経験が異なってきます

30代が社内SEへの転職で求められるもの

・豊富な実務経験
一般的に、30代は10年以上の実務経験を持つことが多い年代です。これまでのキャリアで培ったシステム管理、ネットワーク設定、セキュリティ対策などの技術的な知識と実務経験は社内SEだけではなく、他のエンジニア職種への転職においても非常に価値があります。もちろん、入社後は即戦力として期待されるので、スキルはしっかりブラッシュアップしておきたいところです。

・プロジェクト管理スキル
30代になると、PLやPMの経験を持つ人が多くなります。プロジェクト管理のスキルは社内システムの総合的な管理においても非常に役立ちますから、プロジェクトの計画、進捗管理、リスク管理などの経験はぜひアピールしましょう。

40代が社内SEへの転職で求められるもの

・高度な専門知識と経験
40代は20年以上の豊富な実務経験を持つことが多く、30代より深い専門知識と実務経験があると見なされます。特定の業界の事情や技術分野に詳しい場合、その知識と経験は高く評価されるでしょう。

・マネージメントスキル
40代は、30代以上にPLやPMの経験を持つ人が多くなります。チームメンバーの管理や育成などのマネージメントスキルだけではなく、優れたリーダーシップでIT部門全体を統括するスキルも期待されるので、最初からマネージャーのポジションで募集がかかっていることも多いでしょう。

「やめとけ」の声も……社内SEへの転職にはデメリットもあり

前述の通り、社内SEは安定した職場環境やその業務内容から多くの転職希望者に人気がありますが、メリットばかりではありません。転職を検討する際には以下のような社内SEならではのデメリットも考慮することが大切です。

スキルの停滞リスク

社内SEは日常的なシステム運用やトラブルシューティングに多くの時間を割くことが多いため、最新の技術やトレンドに触れる機会が限られることがあります。結果として、技術スキルの停滞や市場価値の低下リスクが生じる可能性があります。

業務のルーティーン化

上記のような日常的な業務が多くなると業務内容がルーティーン化し、モチベーションが低下することがあります。特に、最新技術で新しいことに挑戦したいエンジニアにとって、同じような業務が続くことはストレスの原因になるでしょう。

給与の上限

社内SEは一般的に安定した収入を得られる職種ですが、他のエンジニア職種と比較すると給与の上昇幅が限定されることがあります。特に日系企業の社内SEの場合、外資系企業やフリーランスエンジニアと比べると収入の伸びはそれほど期待できないでしょう。

社内政治に巻き込まれる

組織の中では人間関係に影響されることが多く、社内SEも例外ではありません。したがって、社内SEとして働く際には技術的なスキルだけではなく、社内での人間関係や部署の力関係も考慮しながら仕事を進める必要があります。複雑な人間関係が苦手な場合は精神的な負担となって業務に支障をきたすこともあるので軽視できない問題です。

雑務の多さ

社内SEはシステム管理やユーザーサポートに加え、しばしばIT以外の雑務を任されることがあります。たとえば、社内のITサポートデスクとしてプリンターのトラブルシューティングやソフトウェアのインストールなど、日常的な細々とした作業が多くなることも。これらの雑務ばかりになると専門的なスキルを活かす機会が限られるため、不満の原因になります。

まとめ

社内SEは安定した職場環境やワークライフバランスの良さなど多くの魅力があり、転職難易度もそれなりに高いです。しかし、どの年代のエンジニアにとっても、これまでの経験と専門知識を活かし、さらにキャリアを成長させる絶好の機会になります。転職を成功させるためには、自身のスキルや経験、企業のニーズにマッチする人材であることを最大限にアピールする必要がありますから、しっかりとした準備と戦略をもって転職活動に臨みましょう。

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