今やるべきことが可視化できる!Webエンジニアのスキルマップを徹底解説
すでに実務デビュー済みで数年の経験があっても、今まで以上にスキルを磨いてもっと成長したいと考えているエンジニアは多いでしょう。
そこで、ここでは現役エンジニアの方向けに、将来のために学ぶべきこと・学ぶ順番を確認する際に役立つWebエンジニアのスキルマップについて解説します。
目次
スキルマップとは?
スキルマップとは、個人またはチームのスキルや能力を可視化するための一覧表です。
これは通常、スキルのレベルを評価し、個人の能力を把握するために使用されます。スキルマップは、以下のような目的で使用されることが多くなっています。
- 保有スキルの特定: 個人またはチームが持っているスキルを明確にし、それらがどの程度向上しているかを把握する。
- ギャップ分析:必要なスキルと現在のスキルの間にあるギャップを特定し、どのスキルのブラッシュアップが必要かを判断する。
- キャリアパスの計画: 個人がキャリアの目標に向けてどのスキルを伸ばすべきかを計画する
- チーム構築: チーム内でのスキルのバランスを取り、プロジェクトやタスクに最適なチームメンバーを選出する際に使用する。
- 研修・教育計画: スキルマップを基に、必要な研修や教育プログラムを計画し、実施する。
スキルマップは表やグラフの形で作成されることが多く、スキルの種類やレベルが一目でわかるように設計されています。企業や組織では、従業員のスキル開発を支援し、組織の目標達成に貢献するためにスキルマップを活用することがあります。
Webエンジニアにおいてもフロントエンド、バックエンドを問わず、このようなスキルマップで
- 現在保有しているスキルとスキルレベル
- 今後習得すべき、またはブラッシュアップが必要なスキル
を把握することは、今後のエンジニアとしての成長に不可欠と言えるでしょう。
スキルマップで「どのように成長していけばいいのか」がわかるようになれば、フロントエンド、バックエンドを問わず理想的なキャリアプランを実現しやすくなります。
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Webエンジニアがスキルマップを活用するメリット
スキルマップはさまざまな職種に活用できますが、Webエンジニアにおいても次のような点で活用するメリットがあります。
- スキルギャップの特定:自分のスキルセットを明確に把握することで、どの技術が欠けているか、または強化が必要かを特定できます。これは、効率的な学習計画を立てる上で不可欠です。
- キャリアパスの計画:スキルマップを用いることで、将来的に目指すべき技術的な目標やキャリアパスを描くことができます。これは、長期的なキャリアの形成に役立ちます。
- 学習の優先順位付け:新しい技術やツールが絶えず登場する中で、スキルマップは学習すべき内容の優先順位を決定するのに役立ちます。
- モチベーションの維持:スキルマップは進捗を視覚化することで、学習のモチベーションを維持するのに役立ちます。
- チーム内での役割の明確化:チームメンバーそれぞれのスキルを把握することで、プロジェクトにおける適切な役割分担が可能になります。
Webエンジニア共通のスキルマップ
それでは、最初にフロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニア共通のスキルマップをご紹介しましょう。
Webの基礎知識
- インターネットの仕組み:ドメイン、IPアドレス、ブラウザとサーバーの関係性など
- TCP/IP:インターネットにおいて標準的に採用されている通信のルール
- リクエスト、レスポンス:リクエストメソッド(POST、GET、PUT、DELETE)、レスポンスのステータスコード(成功、リダイレクト、クライアントエラー、サーバーエラー)など
- サーバー:Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバー、メールサーバー、DNSサーバー
- ブラウザ:Webサーバーとの関係性、HTML・CSS・JavaScriptとの関係性、ブラウザの種類
現役エンジニアでも、改めて学習してみると知らないことが多く出てくるのがWebの基礎知識。
Webの基礎知識はプログラミング言語やフレームワークなどを学ぶ際、知っていて当然のものとして扱われますが、この点の知識がおろそかだと、新しい技術を学ぶときに理解スピードが落ち、学習時のストレスが大きくなってしまいます。
逆にWebの基礎知識がしっかり頭に入っていれば、アプリ開発において機能実装がうまくいかなかったときや変更による不具合が発生したときにも、ネットワーク・サーバー・ブラウザなど根本的な部分からエラーの原因を探れるようになります。
業務効率化の観点からも、Webの基礎知識はしっかりと身に付けておきましょう。
このような知識の蓄積が、結果としてテストコードの実装やAPI開発、セキュリティを考慮したアプリ開発、クラウドでのインフラ構築などの応用的な技術にも活きるようになります。
プログラミング言語の基礎
- HTML、CSS:基礎やベストプラクティスを学び、ユーザー・エンジニア・クローラーにとって見やすいコーディングができるようにすることが大切です。
- JavaScript::フロントエンドでもバックエンドでも使用される。
- Python, Ruby, Javaなどの他の言語も両方の領域で利用されることがあります。
バージョン管理システム
- Git:ソースコードの変更を追跡し、複数の開発者間での作業を調整する。
データベースとの作業
- SQL:データベースから情報を取得・操作するための言語。
- NoSQL:スケーラビリティと柔軟性を提供するデータベースシステム。
APIの使用と設計
- REST: ウェブサービスの作成において広く採用されているアーキテクチャスタイル
- GraphQL:より柔軟なデータ取得を可能にするクエリ言語。
基本的なセキュリティ知識
- 認証と認可: ユーザーのアイデンティティを確認し、リソースへのアクセスを管理する。
- セキュリティの脆弱性: XSSやCSRFなどの一般的な攻撃を理解し、防御する。
開発原則とパターン
- オブジェクト指向プログラミング: 再利用可能なコードを作成するための原則。
- MVC (Model-View-Controller): アプリケーションの構造を整理するためのパターン。
テスト
- ユニットテスト: 個々のコンポーネントが正しく機能するかを確認する。
- 統合テスト:複数のコンポーネントが連携して機能するかをテストする。
アジャイル開発とスクラム
- イテレーティブな開発プロセス: 短いスプリントでの開発を通じて、製品を徐々に改善していく。
ソフトスキル
- コミュニケーション: チームメンバーやステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取る。
- 問題解決: 複雑な問題に直面した際に、創造的かつ効率的な解決策を見つける。
これらのスキルは、フロントエンドとバックエンドの両方で活躍するための基盤を形成し、エンジニアがフルスタック開発に進むための土台ともなります。
フロントエンドエンジニアのスキルマップ
次はフロントエンドエンジニアのスキルマップを見ていきましょう。
JavaScript
- 基礎知識:変数、条件分岐、繰り返し、クラス、メソッド
- モダンJavaScript(ES2015):新規構文(アロー関数、Class構文、スプレッド引数)・追加機能(デフォルト引数、分割代入、テンプレート文字列など)
- FetchAPI(Ajax):リクエスト(メソッド、ヘッダー、ボディなど)、レスポンス(ヘッダー、リダイレクト、ステータスなど)
- パッケージマネージャー(npm、yarn):パッケージインストール、インストール済パッケージ一覧、パッケージアップデート、パッケージアンインストール
JavaScriptはSPA(Single Page Application)、SSR(Sever Side Rendering)、Universal JavaScript(Isomorphic JavaScript)で活用され、役割の幅をどんどん広げてきたフロントエンドエンジニアにとって必須の言語です。
ES2015では既存構文のアップデート・新機能追加が行われました。フレームワークのインストール・バージョン管理などのため、パッケージマネージャーであるnpm、yarnの理解も必須です。
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CSSプリプロセッサー
- Sass:変数、演算、データ型、ミックスイン、ネスト、関数など
- LESS:変数、ネスト、関数、演算、ミックスイン、ループ処理など
- Stylus:変数、ネスト、関数、演算、継承、ミックスイン、条件分岐、ループ処理など
CSSは構造が複雑で、コードの衝突が起こりやすい言語です。一方、CSSプリプロセッサーを用いるとCSSの可読性や保守性が向上します。ミックスイン、セレクターの入れ子、セレクターの継承、関数、四則演算、条件分岐、ループ処理などCSSにはない機能があり、便利なのでぜひ学んでおきましょう。
フレームワーク
- React:JSX、state、props、コンポーネント、Lifecycleなど
- Angular:モジュール、コンポーネント、データバインディングなど
- Vue.js:マスタッシュ構文、ディレクティブ、コンポーネントなど
フロントエンドフレームワークにはさまざまな種類がありますが、世界的な需要から見るおすすめフレームワークはReactです。
(参考:State of JS 2020「Front-end Frameworks」)
学習コスト・市場動向・個人の好み・所属企業の開発環境により選ぶべきフレームワークは異なりますが、特に理由がない限りはReactを積極的に学びましょう。Reactをベースに開発されたフレームワークであるNext.jsも、環境構築が容易であり、ファイルベースルーティング機能による開発効率の向上や、SSG(Static Site Generation)による良質なユーザー体験を実現できる点が魅力です。読み込み速度が速いため、SEOにも有利と言われています。
フロントエンドのテスト手法
- Static Test (静的テスト):TypeScriptを使った型チェック、typoチェック
- Unit Test (単体テスト):関数・コンポーネントの動作確認
- Integration Test (結合テスト):複数の関数・コンポーネントを組み合わせた動作確認
- End to End Test (E2Eテスト):ブラウザ上でシステム全体の動作確認
フロントエンドのテスト手法は、React-testing-libraryの著者であるKent C. Dodds氏のTesting Trophyがよく挙げられます。静的テストはFlowやTypeScriptの導入、単体テスト・結合テスト・E2EテストはJest・Cypress・puppeteerなどを使用します。「静的テスト → 単体テスト → 結合テスト → E2Eテスト」と上のレイヤーに行くほどテストの信頼性が向上する反面、実装コストは高く、エラー発生時の原因特定にも時間がかかります。
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バックエンドエンジニアのスキルマップ
最後に、バックエンドエンジニアのスキルマップを見ていきましょう。
サーバーサイド言語
- 基礎知識:変数、条件分岐、繰り返し、クラス、メソッド、正規表現など
- パッケージマネージャー:パッケージインストール、インストール済パッケージ一覧、パッケージアップデート、パッケージアンインストール
サーバーサイド言語にはC#、Ruby、PHP、Java、Python、Rust、Goなど様々な言語があります。各言語の強み、市場のシェア、将来性、学習コスト、求人数などを考慮し、ご自身にあった言語を選択すると良いでしょう。
キャリアを広げるためには、動的型付けスクリプト言語(Python/Ruby/PHP等)、静的型付けコンパイル言語(Go言語/Rust/Java等)、静的型付けの関数型コンパイル言語(Scala/Haskell等)から、それぞれ1つずつ学んでおくとキャリアの幅が広がります。
言語の幅を広げるか、1つの言語を深掘りして極めるかは、個人のキャリアプランや強みによって変わります。ご自身のキャリアプランに合わせて、その都度最適な選択をしてください。
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フレームワーク
- 基礎知識:MVCモデル、CRUD処理、主要ライブラリ、デバッグなど
- 主要フレームワーク:Laravel、Ruby on Rails、Django、Springなど
- API:設計、RESTful、SSL、JSON
C#、Ruby、PHP、Java、Python、Rust、Goなどさまざまなサーバーサイド言語に対応したフレームワークがあります。個人のキャリアプランに応じてフレームワークを選ぶと良いでしょう。
種類は違っても共通する仕組みは多いため、一つのフレームワークを深く学ぶことで他のフレームワークの学習コストも削減できます。API開発によりWebアプリの価値を外部に広められるため、API開発ができるエンジニアは企業に対する貢献度が高くなります。
クラウド
- 基礎知識:サーバー、ネットワーク、ミドルウェア、オンプレミス
- AWS:EC2、S3、Route 53、VPCなど
- GCP:GCE、GAE、BigQueryなど
スタートアップ企業やベンチャー企業をはじめ、多くの企業がクラウドを導入し始めているため、バックエンドエンジニアもクラウドについて理解しておく必要があります。
主なクラウドサービスとしてAmazonのAWS、GoogleのGCPがあり、クラウド単体でも案件があるため、学んでおくとバックエンドエンジニアとして仕事の幅が広がるでしょう。
バックエンドのテスト手法
- Static Test (静的テスト):型チェック、typoチェック
- Unit Test (単体テスト):関数の動作確認
- Integration Test (結合テスト):複数の関数を組み合わせた動作確認
- End to End Test (E2Eテスト):ブラウザ上でシステム全体の動作確認
- 言語ごとのテストフレームワーク:JUnit(Java)、RSpec(Ruby)、PHPUnit(PHP)など
JavaScriptメインであるフロントエンドと異なり、バックエンドのテストでは各言語に対応したテストフレームワークを学ぶ必要があります。また、一般ユーザー向けアプリのテストもあれば、開発者向けAPIのテストも必要です。フロントエンドのテスト同様、「静的テスト → 単体テスト → 結合テスト → E2Eテスト」と上のレイヤーに行くほど、テストの信頼性が向上する反面、実装コストは高くなります。
Webエンジニアスキルの効率的な学習方法
Webエンジニアスキルの効率的な学習方法は以下の通りです。
キャリアプランのゴールを明確にする
ゴールから逆算すると、現在地はどこか、足りないスキルは何か、どのくらいのペースで進めば良いかがわかります。またゴールを設定する意識を持つことで、自己分析にも目が行くようになり、自身の強みと弱みを把握したキャリアを考えることにつながります。
学ぶスキルと学ばないスキルを決める
Webエンジニアの世界は非常に広く、あれもこれもやりたくなりますが、時間は有限です。
理想とするキャリアを実現するためには、どこかのタイミングで選択と集中が必要になるでしょう。
ぜひゴールと照らし合わせ、何をどういう順番で学び、逆に何を学ばないのかを決めてください。
アプリを作りながら足りない知識を補っていく
基礎知識を網羅することも大事ですが、ピンポイントで学ぶことも大事です。必要なことを学ぶ集中型学習と、さまざまな知識を網羅的に学ぶ分散型学習は意識的に使い分けられると良いでしょう。
アプリを開発すると自身にとって今必要なことがわかり、ピンポイントで学ぶべきことを知れます。そのため実践的な知識やスキルが短期間で身に付きやすいのです。
一方で、直接的には関係ないような分野の技術記事を息抜き程度に眺める習慣があると、アイディアの幅が広がります。時にはその知識のおかげで問題解決に至ることもあるでしょう。
集中型・分散型の学習はご自身で理想的な時間配分を決め、取り組んでみてください。
まとめ
今回ご紹介したのは、Webエンジニアとして活躍するにあたって必要となる代表的なスキルですが、極めようとすれば他にもさまざまなスキルを学ぶ必要があります。
時間は有限だからこそ、選択と集中を忘れずに、ぜひご自身が理想とするキャリアプランに合わせて計画的に学習してください。
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