エンジニアの役職一覧と各役職に必要なスキル・経験、想定年収、キャリアパスについて解説
エンジニアとして今後のキャリアを考える際、気になるのが「エンジニアの役職」。PMやPLあたりは有名ですが、日進月歩で進化するITの世界では役職も多岐にわたり、「管理職かどうか」という視点だけでは説明できません。
そこで今回は、エンジニアの主な役職を一覧で紹介し、それぞれの役職で求められるスキルや経験、想定年収、キャリアパスについて詳しく解説します。
エンジニアの役職一覧
一般的に、「役職」は課長や部長のような管理職のことを指す場合が多いですが、ここでは一般職か管理職かを問わず、「役割」という意味で以下の役職について解説していきます。
- ジュニアエンジニア
- システムエンジニア(SE)
- リードエンジニア
- シニアエンジニア
- PL(プロジェクトリーダー)
- テックリード
- アーキテクト
- PM(プロジェクトマネージャー)
- CTO(最高技術責任者)
エンジニアの主な役職と必要なスキル・経験
1. ジュニアエンジニア
ジュニアエンジニアは開発チームの一員として、基本的なプログラミングやテスト業務を担当します。
先輩エンジニアの指導のもとで実務経験を積み、スキルを磨いていく段階。この時期は基礎をしっかりと固めることが重要です。
<必要なスキル>
・基本的なプログラミング知識
主要なプログラミング言語(Java、Python、JavaScriptなど)の文法や構文を理解し、簡単なプログラムを作成できる。
・学習意欲とチームワーク
新しい技術や知識を積極的に学び、チームメンバーと協力して業務を遂行する姿勢がある。
<求められる経験>
1〜2年の実務経験:未経験者でもポテンシャルが評価されることがありますが、基本的なIT知識やプログラミングの経験があると業務に入っていくのもスムーズです。
2. システムエンジニア(SE)
システムエンジニア(SE)は、クライアントの要件をヒアリングし、それを具体的なシステム設計に落とし込む役割を担います。
開発プロセスの上流工程に携わる、プロジェクトの成功に不可欠な存在です。
<必要なスキル>
・要件定義能力
クライアントのニーズや問題点を正確に理解し、要件として整理・文書化できる。
・設計知識
基本設計や詳細設計の手法を理解し、システム全体の構造を設計できる。
・コミュニケーション力
クライアントやチームメンバーと円滑に情報を共有できる。
<求められる経験>
2〜3年以上の開発経験:中級以上のプログラミングスキルがあることが大前提。また、実務経験に加えて、設計や要件定義の経験も豊富であることが望ましいです。
3. リードエンジニア
リードエンジニアは開発チームの技術的なリーダーとして、プロジェクトを技術面で牽引します。
また、技術的な意思決定や問題解決、メンバーのサポートを行い、プロジェクトの質と効率を高めます。
<必要なスキル>
・高度な技術知識
複数のプログラミング言語やフレームワークに精通し、最適な技術を選定できる。
・問題解決能力
技術的な課題やトラブルを迅速かつ的確に解決できる。
・リーダーシップ
組織やチームの目標達成に向けてチームをまとめ、メンバーの能力を最大限に引き出すことができる。
<求められる経験>
5年〜10年の開発経験:リードエンジニアとしての役割を果たすためには、豊富な実務経験と技術力が必要であり、上級のプログラミングスキルを持っていることが前提です。特定の分野における専門性があれば尚良し。
4. シニアエンジニア
シニアエンジニアは技術的な専門知識と豊富な経験を持ち、プロジェクトの中心メンバーとしてシステム開発に携わるエンジニアを指します。
プログラミングやシステム設計において高いスキルを発揮し、バグの修正やデバッグなどの技術的な問題解決を行います。また、若手エンジニアの指導や教育も重要な役割。
<必要なスキル>
・専門分野の深い知識
データベース、セキュリティ、AIなど特定分野での高度な知識と経験がある。
・技術的なリード能力
新しい技術の導入や技術戦略の立案し、技術的な課題を解決できる。
・指導力
後輩エンジニアの育成や技術指導を行い、チーム全体の技術力を向上させるコーチングスキルがある。
<求められる経験>
5年以上の実務経験:大規模プロジェクトや難易度の高い技術課題に取り組んだ経験が求められます。
5. PL(プロジェクトリーダー)
PL(プロジェクトリーダー)は、プロジェクトを遂行するためにチームを管理するプロジェクトチーム責任者です。
メンバーのまとめやトラブルのフォロー、スケジュール管理やタスクの割り振り、クライアントとの調整など、プロジェクト運営の中心的な役割を担います。
<必要なスキル>
・マネジメント能力
プロジェクトの進行状況を把握し、適切に管理・調整できる。
・コミュニケーション力
クライアントやチームメンバーと情報を共有しながら信頼関係を構築できる。
・リスク管理能力
潜在的なリスクを予測し、未然に防ぐための対策を講じることができる。
<求められる経験>
3〜5年の開発経験とリーダー経験:技術的な知識に加え、チームをまとめるリーダーシップが必要です。
6. テックリード
テックリードは技術戦略の策定や技術選定を担当し、チームの技術力向上を推進します。
さらに、最新の技術トレンドを把握し、プロジェクトに最適な技術を導入する役割も果たします。
<必要なスキル>
・最新技術の知識
業界の技術動向を常にウォッチし、新しい技術を積極的に取り入れることができる。
・メンバーの育成能力
チームメンバーへの技術指導や知識共有を通じて、組織全体の技術力を高めることができる。
・戦略的思考
中長期的な視点で技術戦略を立案し、ビジネスの成長に貢献できる。
<求められる経験>
5〜7年の開発経験:高度な技術知識とともに、組織をリードする経験が求められます。
7. ITアーキテクト
ITアーキテクトは企業の経営戦略やビジネスニーズに基づいて、最適なITシステムを設計・構築する専門家です。
システム全体の設計図を作成し、運用しやすいシステム基盤を構築する重要な役割を担います。
<必要なスキル>
・システム設計能力
大規模・複雑なシステムのアーキテクチャを設計できる。
・技術統括力
複数の技術領域を統合し、最適なソリューションを提供できる。
・問題解決力
システム全体の課題を発見し、最適な解決策を提案・実行できる。
<求められる経験>
7年以上の実務経験:大規模システムの設計・開発に携わった経験が必須です。
8. PM(プロジェクトマネージャー)
PMはプロジェクト全体の管理を担う責任者です。
プロジェクトの企画立案、予算管理、人員の調整、進捗の監視、品質管理などを行い、プロジェクトを成功に導きます。
クライアントや経営陣とのコミュニケーションを通じてプロジェクトの目標や要件を明確にしたり、プロジェクトが進行する中で発生する問題やリスクに対しても迅速に対応したりするため、PMはプロジェクトの舵取りをする重要な役割を担います。
<必要なスキル>
・プロジェクトマネジメントスキル
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)などの知識を活用し、プロジェクトを成功に導く手法を熟知している。
・リスク管理能力
プロジェクトのリスクを的確に分析し、適切な対策を講じることができる。
・交渉力
クライアントやパートナー企業との契約交渉や条件調整を行うことができる。
<求められる経験>
5〜10年以上のプロジェクト管理経験:大規模または複雑なプロジェクトのマネジメント経験があると有利。
9. CTO(最高技術責任者)
CTO(最高技術責任者)は、企業における技術戦略の策定と実行を担う重要な役職です。
具体的には、新規プロジェクトや既存業務の改善に必要な技術を選定し、その導入を決定します。また、エンジニアや技術者の採用・育成を担当し、チームが効果的に機能するように管理するのも大切な役割の一つ。
また、CTOには、技術的スキルだけでなく、経営やマネジメントに関する能力も求められます。クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能などの最新技術に関する深い知識が必要であり、経営陣の一員として企業のビジョンや戦略に基づいた技術的な意思決定を行います。
<必要なスキル>
・経営視点での戦略立案能力
技術とビジネスを結びつけ、企業価値を最大化する戦略を策定できる。
・組織マネジメント力
技術部門全体の組織運営や人材育成を行い、強い技術組織を構築できる。
・ビジョンの提示
企業の技術的な方向性を明確に示し、組織全体を牽引するリーダーシップがある。
<求められる経験>
豊富な開発・マネジメント経験:経営層との連携や事業戦略に深く関与した実績が求められます。
適性や志向によるエンジニアのキャリアパス
一般的に、日本企業ではプレーヤー(実務担当者)からマネージャー(管理職)になることを念頭に置いたキャリアパスを考えることが多いですが、IT業界ではエンジニアが管理職に昇進するのではなく、スペシャリストとしてキャリアを伸ばす道も用意されている場合があります。
では、「エンジニアとして現場で活躍したいスペシャリスト志向」と「プロジェクトやチームを率いるマネージャー志向」のどちらかの方向で今後のキャリアを考える際、具体的にどのようなキャリアパスを検討すればいいのでしょうか。
技術を極めたい場合(スペシャリスト)
エンジニアとしての専門知識や技術力を深め、より高度な技術的課題に取り組むことでキャリアを積んでいきたい場合は、以下のようなキャリアパスが考えられます。
ジュニアエンジニア
↓
システムエンジニア
↓
リードエンジニア
↓
シニアエンジニア
↓
テックリード
↓
アーキテクト
↓
CTO
マネジメントに進みたい場合(マネージャー)
チームやプロジェクトの管理・運営能力を磨いてマネジメント業務に携わりたい場合は、以下のようなキャリアパスが考えられます。
ジュニアエンジニア
↓
システムエンジニア
↓
リードエンジニア
↓
PL
↓
PM
↓
CTO
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役職ごとの想定年収は?
キャリアパスを考える際、自身の適性や志向はもちろんのこと、希望する年収も重要な判断材料になります。
それではここで、役職別の想定年収を確認していきましょう。
なお、以下の想定年収はあくまで目安であり、地域や企業規模、業界によって異なる場合があります。
ジュニアエンジニア:年収300万円〜400万円
基本的なプログラミングスキルや業務知識を身につける段階なので年収は比較的低め。しかし、スキルを磨いていけば、早期に給与アップや昇進の機会が広がります。
システムエンジニア:年収400万円〜550万円
ジュニアエンジニアから一歩進んだ役割を担い、専門知識が増えるとともにプロジェクトマネジメントスキルも求められるようになるため、年収が一段上がります。
リードエンジニア:年収550万円〜650万円
高い技術力とリーダーシップが求められるため、給与もそれに応じて高く設定されています。
シニアエンジニア:年収650万円〜800万円
複雑なプロジェクトや新技術の導入をリードするシニアエンジニアには高度な技術力と専門性の高さが必要になり、それが給与に反映されます。
PL:年収500万円〜600万円
技術的な知識に加え、マネジメントスキルが求められるため、年収も高め。プロジェクトの成功に直接貢献する役割であり、その責任の大きさが給与に反映されているのです。
テックリード:年収750万円〜900万円
高度な技術力と戦略的な思考が求められるため、高い給与水準が設定されています。
ITアーキテクト:年収800万円〜1000万円
複雑なシステムの設計や最適化、技術的な戦略の策定など、専門性の高い業務を行うため、非常に高い給与が支払われます。市場ではITアーキテクトの需要が高まっており、その市場価値も上昇しています。
PM:年収800万円〜1000万円
スケジュール管理、リソース配分、リスク管理、ステークホルダーとのコミュニケーションなど多岐にわたる業務を担当し、プロジェクトの成功に直結する重要な役割であるため、どの企業でも高い報酬が設定されています。
CTO(最高技術責任者):年収1000万円以上
新技術の導入や研究開発の推進、技術チームの統括など、企業の成長に直結する役割を担うCTOは市場での希少性と責任の重さから給与は非常に高く設定されており、1000万円以上は珍しくありません。
管理職にならずに年収を上げることはできる?
上記からわかる通り、大きな責任を負う管理職(マネジメント系の役職)は給与が高く設定されていますが、スペシャリストとしてのキャリアパスを選んだ場合でもスキルや経験次第で年収を上げることができます。
たとえば、シニアエンジニア、テックリードといったスペシャリスト系の役職では、技術的な貢献度や専門性に応じて報酬が上がります。
さらに、最近では技術力を重視する企業が増えており、管理職にならずとも成果に応じた報酬やインセンティブを提供する企業も多く存在します。したがって、管理職に進まない選択肢も「アリ」、そして年収を上げることが可能です。
現在所属している企業が管理職への昇進を前提にした昇給制度を採用している場合は、転職を検討してみましょう。スキルを重視し、スペシャリストを高く評価する企業であれば、無理して管理職にならずともしっかり年収を上げることができます。
また、スキルや経験が十分あり、営業力や事務処理能力にも問題がなければ、フリーランスになるのも手です。
エンジニアのスキルに直接値段が付くため、ハイレベルのエンジニアであれば高単価の案件を獲得して年収アップを期待できるでしょう。
まとめ
エンジニアとしてのキャリアは、一つの道に限定されるものではありません。管理職を目指す道もあれば、技術のスペシャリストとしての道も存在します。重要なのは、自分が本当に情熱を持てる仕事でスキルと経験を積み重ねることです。
どちらの選択肢にもそれぞれの魅力と可能性があるので、自分自身の価値観や適性に合った道を選びましょう。
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