エンジニアが中国語を学ぶメリットとは?中国のIT事情や中国語を使えるエンジニアのキャリアパスについても解説
世界のIT業界で注目される言語といえば、これまでは英語が主流でした。しかし、急速に成長を遂げる中国のIT産業とそのグローバルな影響力により、今、中国語を学ぶエンジニアが増えています。
そこで、ここではエンジニアが中国語を学ぶメリットや中国のIT事情、さらに中国語スキルを活かせる求人例、キャリアパスについて詳しく解説します。
エンジニアが中国語を学ぶメリットとは?
最新技術ニュースや各種言語の公式ドキュメントなどは英語で公開されていることが多いため、エンジニアには英語が欠かせないといわれてきました。しかし、最近のIT業界界隈では中国語が注目され始めています。
意外に思われるかもしれませんが、IT業界では今、次のようなメリットから中国語を学ぶエンジニアが少しずつ増えています。
中国の急速なIT産業の成長とグローバルな影響力
中国のIT産業はここ数年で急激に発展し、今や世界中の市場に大きな影響を与えています。
たとえば、アリババ(阿里巴巴)やテンセント(腾讯)、バイドゥ(百度)などの中国のテックジャイアントはAI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングといった先端技術分野で世界をリードしており、これらの企業はエンジニアにとっては無視できない存在となっています。
巨大な中国市場へアクセスしやすくなる
世界最大の人口を抱えながら急速な経済成長を続ける中国ではIT製品やサービスの需要が非常に高いため、製品開発やマーケティング、販売戦略を現地のニーズに合わせて展開する必要がありますが、中国語が使えるエンジニアであれば現地のパートナー企業との業務や交渉を円滑に進められます。
世界最大のインターネット人口(14億人)を誇る中国は、ビジネスの観点から無限大のチャンスと可能性を秘めていると言えるでしょう。
中産階級の拡大と購買力の向上によるエンジニアの需要高
中国は過去数十年間で驚異的な経済成長を遂げ、中産階級が急速に増加しました。これにより、スマートフォン、タブレット、スマートホームデバイスなどの高度なデジタル製品の需要が高まっています。
”使う人”がいてこそのITですから、日本では見られないような爆発的な購買力は世界中のIT企業が中国向けの製品・サービス開発に力を入れる大きな要素となり、中国語対応が可能なエンジニアへの需要につながるのです。
最新技術情報へのアクセスと競争力の向上
中国はAIやビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの先端技術分野で世界をリードしており、技術革新のスピードも非常に速いです。したがって、中国語を習得すれば最新の技術情報やトレンドをタイムリーに把握できるようになります。
また、他のエンジニアとの差別化を図るという意味でも中国語スキルは大きなアドバンテージとなるので、外国人エンジニア多数在籍する企業でPL・PMを目指す、将来は外資系企業でフリーランスエンジニアとして案件に携わりたいという場合は中国語の習得がおすすめです。
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中国のIT・エンジニア事情とは?
上記のように、さまざまな面でスケールの大きな流れが到来している中国のITですが、ここで中国のIT・エンジニア事情について見ていきましょう。
1980年代以降、かつては安価な労働力を背景に「世界の工場」と呼ばれた中国は今、どのようになっているのでしょうか。
中国のテックジャイアントの影響力
中国のIT産業はここ数年で急激に発展しており、その成長を支える要因の一つが、アリババやテンセントといったテックジャイアントの存在。アリババは電子商取引、テンセントはソーシャルメディアやゲームを主軸に、それぞれが中国国内外で大きな影響力を持っています。これらの企業はクラウドサービス、フィンテック、AIなどの分野にも積極的に進出しているので、今後はグローバルな市場での競争力が注目されるでしょう。
現在、アリババの「アリババクラウド(Aliyun)」やテンセントの「WeChat」などのサービスは世界中で広く利用されており、デジタルインフラの提供者としても重要な役割を果たしています。これらのテックジャイアントの成功は中国のIT産業全体の発展を牽引しており、今後もその影響力はさらに拡大していくものと見られます。
AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの急成長分野
中国では政府の支援のもと、AIに関する研究開発や実用化が進み、中国は世界のAI競争で主要なプレイヤーとなっています。特に、顔認証技術や自然言語処理などの分野の評価は高いです。
また、ビッグデータの活用も進んでおり、金融、ヘルスケア、交通などさまざまな分野でデータ駆動型の意思決定が行われています。
中国のエンジニアの働き方と労働環境
中国のエンジニアはその高い技術力と同時に非常にハードな労働環境でも知られています。特に、急成長を遂げているテック企業では成果物の質に対する要求が高いうえ、厳しいスケジュールの中で働くことが一般的です。このような労働環境はエンジニアのスキル向上やキャリアの成長に寄与する一方で、ストレスや疲労が蓄積しやすいという課題も抱えています。
中国でここ数年よく聞かれるようになった言葉の一つに「996勤務形態」があります。
これは朝9時から夜9時まで、週6日働くという非常に厳しい労働スケジュールを指し、この働き方は一部のテック企業で広く採用されています。つまり、一部の中国のエンジニアはこの過酷な労働環境の中で働き、高いパフォーマンスを求められているわけです。こうしたハードな働き方は中国の急速な経済発展を支える一方で、労働者の健康やワークライフバランスに対する懸念も引き起こしています。
日本では働き方改革やワークライフバランスの向上が求められていますが、中国では経済発展とともに成果主義が根付いてきていますから、このような文化的な違いは日中間のビジネスやプロジェクトにおいても理解しておくべき重要なポイントとなります。
エンジニアとしての報酬と待遇
中国のエンジニアの給与は企業やスキル、地域によって幅がありますが、平均年収は200万円~250万円程度とされています。しかし、大手テック企業では1000万円、2000万円以上も珍しくなく、先ほど名前が挙がったテンセントやファーウェイはそういった高額給与の支給するIT企業の代表例です。
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挑戦的なプロジェクトと起業文化
中国にはエンジニアが挑戦できるスタートアップ企業が数多く存在し、シリコンバレーと肩を並べるようなハイテク都市がいくつもあります。キャリアの一環として自らスタートアップの立ち上げを目指す若手エンジニアが非常に多いのも特徴です。
エンジニアの採用基準の厳格化
中国のIT企業ではエンジニアの採用基準が年々厳しくなっており、特にAIやクラウド技術、データサイエンスなどの分野では実務経験のほか大学、研究機関での専門的な教育が重視される傾向にあります。
また、中国企業はグローバル展開を進める中で、英語やその他の外国語に堪能なエンジニアを求めているため、国際的なプロジェクトに携わった経験や多国籍なチームでの協働経験があるエンジニアは高く評価されます。
中国語を使えるエンジニアの求人例・キャリアパス
日本のIT企業にはすでに中国人のエンジニアが多く在籍していますので、中国語の習得は彼らのとの業務上のコミュニケーションや個人的な交流に大いに役立ちますが、エンジニアとしての将来のキャリア選択においても有用です。
次に挙げる職種は中国語スキルを活用するエンジニアとしてのキャリアを築く選択肢となり、求人の募集も増えています。
ブリッジエンジニア(ブリッジSE)
ブリッジエンジニアは海外の協力企業との技術的な橋渡しを行うエンジニアです。
中国語が使えるエンジニアであれば、日本の開発チームと中国のオフショア開発チームとの間で技術的な要件や仕様を調整したり、品質管理や技術サポートも担当したりするなど、業務におけるコミュニケーション全般を円滑にする役割を果たすことになります。
ビジネスレベルの語学力が必要ですが、語学力以上に大切なのは技術面での確固たるスキル。中国語は業務を通して徐々にレベルアップしていければ良いでしょう。
<求人例>
職種::ブリッジエンジニア(中国語)
〇仕事内容
・日本の開発チームと中国のオフショア開発チーム間での技術的調整。
・要件定義、仕様書の作成、進捗管理。
・中国語・日本語の翻訳および通訳業務。
・プロジェクトの品質管理と納期調整。
〇応募資格
・日本語・中国語のビジネスレベルでのコミュニケーションスキル。
・ソフトウェア開発の経験(3年以上)。
・プロジェクトマネジメントの経験があれば尚可。
〇勤務地
東京もしくはリモート
〇給与
年収500万円~800万円(経験により優遇)
ローカライズエンジニア
ローカライズエンジニアはソフトウェアやアプリケーションを中国市場向けに最適化する役割を担います。具体的には製品のインターフェース、ドキュメント、ユーザーガイドなどを中国語に翻訳し、現地の文化や習慣に合わせて調整します。また、技術的な調整も行い、現地での利用が円滑に進むようにサポートするのも業務の一つです。
中国語の高い語学力に加え、現地の文化や習慣に対する深い理解、そして当然ながらソフトウェア開発やプログラミングの知識も求められます。
<求人例>
職種:ローカライズエンジニア(中国語)
〇仕事内容
・ソフトウェアやアプリケーションの中国市場向けローカライズ。
・製品のインターフェース、マニュアル、ドキュメントの中国語翻訳と文化適応。
・ローカライズにおける技術的な調整とサポート業務。
・現地ユーザーからのフィードバック収集と製品改善提案。
〇応募資格
・中国語・日本語のビジネスレベルでのコミュニケーションスキル。
・ソフトウェア開発経験(2年以上)。
・ローカライズや翻訳経験があれば尚可。
〇勤務地
またはリモート
〇給与
年収450万円~750万円(経験により優遇)
セールスエンジニア(プリセールス)<中国市場向け>
セールスエンジニアは顧客の技術的なニーズを理解したうえで最適なソリューションを提案したり、製品デモンストレーションや技術プレゼンテーションを行ったりする”技術寄り”の営業職です。
ビジネスレベルの中国語、自社製品・サービスに関する専門知識、そして営業やプレゼンテーションスキルも求められます。
<求人例>
職種:セールスエンジニア(中国市場向け)
〇仕事内容
・中国市場向けの技術製品・サービスの提案と販売支援。
・顧客の技術ニーズを理解し、最適なソリューションを提案。
・製品デモンストレーションや技術プレゼンテーションの実施。
・顧客との技術的なやり取り、問題解決のサポート。
〇応募資格
・中国語・日本語のビジネスレベルの語学力。
・IT製品やサービスに関する技術的知識。
・セールスエンジニアやプリセールスの経験があれば尚可。
〇勤務地
東京またはリモート
〇給与
年収550万円~900万円(経験により優遇)
まとめ
外国語を学ぶことはキャリアの可能性を大きく広げる手段となります。特に使用者が多い言語はそれだけ大きな市場が存在することになりますから、語学の活用方法やキャリア選択によっては想像以上のメリットをもたらすかもしれません。
グローバルなキャリアを目指したい方は、英語の次に中国語を学んでみてはいかがでしょうか。
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