フリーランスエンジニアの労働時間の実態とは?フリーランスたちの一日のスケジュールの例とともに解説

フリーランスエンジニアの労働時間の実態とは?フリーランスたちの一日のスケジュールの例とともに解説

フリーランスエンジニアの魅力の一つは、やり方次第で労働時間をコントロールできる点にあります。しかし、実際の労働時間はどうなのでしょうか。
そこで、ここではフリーランスエンジニアの一日のスケジュールや月平均稼働時間の実態を紹介しつつ、労働時間・スケジュール管理の重要性や案件を掛け持ちする場合の注意点についても詳しく解説していきます。

フリーランスエンジニアになりたい理由の上位にあるのが「労働時間のコントロール」

フリーランスエンジニアを目指す理由の一つとしてよく挙げられるのが、「労働時間をコントロールできること」です。企業に勤めるエンジニアとして働く場合はそのようにはいきませんが、フリーランスエンジニアであれば、稼働時間が自由になりやすい案件を選んで自分自身で働く時間を決められる=労働時間をコントロールできるようになる、というわけです。

中小企業庁の委託による「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」(日本アプライドリサーチ研究所が実施)において、「フリーランスとして働いている理由」として最も多かった回答は「仕事をする時間や場所の自由度がある」でした。
(参考:中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」)

また、フリーランスエンジニア向けのマッチングサービス事業を展開するアン・コンサルティング株式会社が2022年に会社員エンジニア150人、会社員経験を持つフリーランスエンジニア150人、計300人を対象に実施した「フリーランスエンジニアへの転向意識調査」では、「フリーランスエンジニアになることに興味がある理由」について、56.7%が「時間にとらわれない働き方ができそうだから」と回答、最も多い理由となっています。
(参考:アン・コンサルティング株式会社「フリーランスエンジニアへの転向意識調査」)

一時期は終電帰りや会社に泊まり込みといった過酷な働き方が問題視されたIT業界の労働環境は改善されつつありますが、所属企業やプロジェクトによっては未だに長時間労働が恒常化していることも多いのが現実であり、ワークライフバランスを求めてフリーランスへの転向を検討するエンジニアが絶えないのも頷ける話でしょう。

フリーランスエンジニアの一日の労働時間はどれくらい?一日のスケジュールを例にチェック!

では、フリーランスエンジニアの実際の労働時間はどれくらいなのでしょうか。
現役フリーランスの一日のスケジュールを見ながら確認していきましょう。

フロントエンドエンジニアTさんの場合

・年齢: 28歳
・経験: 3年目
・スキル:フロントエンド開発(React、Vue.js)、WordPress構築

田中さんは3年前に退職してフリーランスエンジニアとして独立。現在は自宅からリモートでWebサービスのフロントエンド開発をメインに行っています。現在参画中の案件は準委任契約であるため労働時間がある程度決まっており、残業は発生しません。
フリーランスと聞くと朝はのんびりできるイメージがあるかもしれませんが、Tさんの契約では最低稼働時間が設定されているので、これを下回らないように、朝は早めに起きて仕事をしています。

【労働時間は約8時間】
7:00 起床、朝食、メールチェック
8:00 クライアントとのミーティング
9:00 コーディング、設計作業
12:00 昼食、リラックスタイム
13:00 コーディング、テスト作業
16:00 クライアントからのフィードバック対応、修正作業
17:00 終業、自由時間
18:00 夕食、家族との時間
20:00 スキルアップのための学習、趣味の時間
22:00 就寝準備

モバイルアプリエンジニアNさんの場合

・年齢: 35歳
・経験: 9年目
・スキル:モバイルアプリ開発(Swift、Kotlin)、UI/UXデザイン

Nさんはスタートアップ企業と契約し、週3日ほど常駐で働くフリーランスエンジニアです。定期的にクライアントと直接顔を合わせることで迅速なコミュニケーションを図り、プロジェクトをスムーズに進めています。労働時間は比較的安定しており、仕事とプライベートのバランスはしっかり維持できているので、今の働き方には十分満足しているそう。

【労働時間は約7時間】
7:00 起床、朝食、通勤
9:00 クライアント先到着、業務開始
10:00 ミーティング、業務調整
11:00 コーディング、設計作業
13:00 昼食(外出、同僚とランチ)
14:00 コーディング、テスト作業
17:00 終業、帰宅
19:30 夕食、自由時間
21:00 スキルアップのための学習
23:00 就寝準備

WebアプリエンジニアMさん

・年齢: 33歳
・経験: 6年目
・スキル::Webアプリケーション開発(Ruby on Rails、JavaScript)、データベース管理

Mさんは複数の中小企業からWebアプリケーションの開発を請け負っているフリーランスエンジニアです。プロジェクトの仕様策定から実装、テスト、納品までを一貫して担当しており、納期に合わせて労働時間が長くなることが多々あります。
請負契約の性質上、プロジェクトの完遂が直接収入に繋がるため、長時間労働を厭わない姿勢で仕事に取り組んでいますが、健康管理と効率的なタスク遂行を心がけています。

【労働時間は10-12時間】
6:30 起床、朝食、メールチェック
7:00 クライアントへの進捗報告、メール返信
8:00 コーディング、機能実装作業
12:00 昼食(デスクで簡単に済ませる)
12:30 バグ修正、機能追加
15:00 休憩、短時間のストレッチ
15:30 テスト作業、デバッグ
18:00 夕食(簡単に済ませる)
19:00 コーディング、ドキュメント作成
21:00 クライアントへの中間報告、次の日のタスク確認
22:00 終業、就寝準備

上記のようなスケジュールを見ると、フリーランスエンジニアの労働時間は一定の柔軟性があるものの、契約形態やプロジェクトの性質に応じて労働時間が大きく変動することがわかります

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フリーランスエンジニアの月平均労働時間は?

フリーランス協会が2024年に発表した「フリーランス白書2024」によれば、フリーランスの月の平均稼働時間は140~200時間未満が最も多く(36.4%)、その次が100~140時間未満(16.7%)です。
(参考:フリーランス協会「フリーランス白書2024」)

フリーランスエンジニアの月平均稼働時間は契約形態や業務内容によって異なりますが、一般的には160~200時間程度だといわれており、上記データは実態とかなり近いものだと言えるでしょう
たとえば、週に40時間稼働する場合、月間では約160時間の労働時間になります。この数字は、準委任契約のフリーランスエンジニアに多く見られる傾向です。

一方、請負契約で働くフリーランスエンジニアの場合、プロジェクトの納期や内容によって月の稼働時間が大きく増減します。特に、納期前には200時間を超えることも珍しくありません。また、複数の案件を同時に抱えるエンジニアでは、月間で250時間以上働くケースも見られます。

会社員の月の労働時間は一般的に160時間から200時間程度とされていますから、フリーランスといえども、労働時間を大幅に減らせるわけではないのです

フリーランスエンジニアはスケジュールと労働時間の管理を徹底しよう!

前述の一日のスケジュール例を見てもわかるように、フリーランスエンジニアは自分自身で時間を管理する必要があるため、計画的に動かないと無駄な時間が増えたり、納期に間に合わなくなったりするリスクがあります。
フリーランスエンジニアとして働くなら次のような点を念頭に、スケジュールと労働時間をしっかり管理するようにしましょう。

常に時間を意識しよう!

たとえば、毎朝業務を開始する前にその日のタスクをリストアップし、優先順位を付ける習慣を身に付けることが効果的です。
また、一定時間ごとに短い休憩を取り入れることで集中力を維持し、作業の質を高めることができます。具体的には、25分間の集中時間と5分間の休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」などの時間管理方法を取り入れることで、効率的に作業を進められるでしょう。
さらに、終業時間を明確にし、その時間以降は仕事をしないルールを設けることも大切です

時間・タスク管理ツールの活用も有効

時間を意識するだけでは物足りない場合は、以下のような時間・タスク管理ツールの活用も検討してみましょう。

案件を掛け持ちしたいフリーランスエンジニアは「健康リスク」と「生産性の低下」に注意!

フリーランスエンジニアとして働く際、複数の案件を掛け持ちすることで収入を増やしたいと考える方も多いでしょう。実際のところ、単価交渉するより複数の案件を掛け持ちする方が収入の上げ方としては容易かもしれません。しかし、案件の掛け持ちは次のようなリスクに直面する可能性が高くなるので入念な計画と注意が必要です。

働きすぎによる健康リスク

複数の案件を同時に抱えると一日の労働時間が10時間を超えることもあり、知らず知らずのうちに働きすぎていることがあります。にもかかわらず、フリーランスエンジニアは企業に属しているエンジニアと異なり、定期的な健康診断を受ける機会がないため、自分の健康状態に気付かずに働き続けてしまうリスクがあります。
体調を崩して長期間休まざるを得ない状況に陥ると、クライアントとの契約に影響を与えることもあるでしょう。フリーランスの体調不良は仕事を失う要因の一つなのです
このようなリスクを避けるためには、定期的に自己管理を行い、健康診断を受ける機会を自ら作ることが重要ですそして、あらかじめ一日の労働時間を決め、意識して休憩を取るよう心がけてください

生産性の低下

案件を掛け持ちすると、コーディングや設計作業において細部に注意を払うべき場面でミスが発生し、その修正に余分な時間を取られることがあります。つまり、生産性が落ちるのです。こうしたことが積み重なると、全体のスケジュールが遅れ、最終的には納期に間に合わず、契約解除につながることも考えられるでしょう。
ですから、生産性を維持するためには、掛け持ちする案件を増やし過ぎないようにすることが大切です
掛け持ちによる収入アップを目指すこと自体は悪くないですが、それが原因で体を壊し、仕事を失ってしまっては元も子もありません。

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まとめ~フリーランスは原則的に労働基準法による保護の対象外~

柔軟な働き方ができるといわれるフリーランスエンジニアですが、必ずしも労働時間の短縮につながるとは限りません。実際、案件の掛け持ちや納期に追われることで、会社員時代よりも長時間労働になることも珍しくありません。

さらに、フリーランスは原則として労働基準法による保護の対象外であることを理解しておく必要があります。
労働基準法は雇用関係にある労働者を守るための法律で、労働時間の規制や最低賃金、残業代、休憩時間の確保などが含まれますが、フリーランスは個人事業主であるため労働基準法による保護の対象外ですしたがって、契約内容によっては長時間働いても残業代が支払われることはなく、休暇を取る際にはその間収入が途絶えるリスクがある点は留意しておきましょう

なお、最近ではフリーランスのように自由で柔軟な働き方を実現している企業も増えているので、そういった企業の会社員として働く選択肢もあります。企業に所属しながらも、リモートワークやフレックスタイム制を活用し、自分のライフスタイルに合わせて働くことができるため、フリーランスと会社員それぞれのメリットを取り入れた働き方もぜひ検討してみましょう。

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LifetimeEngineer編集部
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