「エンジニアは話が通じない・会話ができない」といわれる原因とエンジニアが心がけるべきこととは?
エンジニアは高度な専門知識と技術力を持つ一方で、コミュニケーションに課題があると指摘され、エンジニア自身も人間関係に苦労してしあうことがあります。
そこで今回は、「エンジニアは話が通じない・会話ができない」といわれてしまう原因と、エンジニアが円滑なコミュニケーションを図るために心がけるべきポイントを探っていきます。
目次
「エンジニアは話が通じない・会話ができない」といわれる原因
「エンジニアと会話するのは一苦労だ」。
面と向かって言われたことはないものの、ネットの情報やニュースなどで見聞きしたことはあるかもしれません。
なぜエンジニアはコミュニケーションにおいてネガティブな印象を持たれてしまうのでしょうか。
専門用語を多用する
エンジニアは普段から専門的な用語や略語を使って会話をすることが多いため、非エンジニアにとってその内容をなかなか理解しづらい場面が多々あります。
たとえば、「このシステムはAPIを介して他のサービスと通信していて、エンドポイントの設定に問題がある」といった説明がよくあります。
エンジニアからしてみれば、わかりやすく説明したつもりでも、人によってはあまり理解できず、話についていけないと感じやすいことがあります。
理屈や論理に重点を置きすぎる
エンジニアは論理的な思考を重視するため、問題解決のプロセスや手順について丁寧に説明しようとします。しかし、非エンジニアの立場からすると、細かいプロセスや背景情報は不要で、結果だけを知りたい場合もあります。たとえば、「なぜこの機能が必要なのか」を尋ねたときに、「要件分析の過程でこの機能が…」とプロセスを詳述されると、相手にとっては負担に感じることがあります。
皮肉が多い
エンジニアは問題や課題に対して率直に指摘をしたり、冷静に分析したりすることが多いですが、時に皮肉を交えた表現が出ることもあります。
この皮肉は、ユーモアとして受け取られる場合もありますが、非エンジニアにとっては「批判されている」「意地悪な印象がある」と感じられがちです。たとえば、「この設計なら、あと何度かやり直せば完璧になるかもしれませんね」といった言葉が、ジョークとして発されたつもりでも、相手にはプレッシャーや否定的なメッセージとして伝わってしまうことがあります。
雑談や感情表現が少ない
エンジニアのなかには業務における会話で無駄を省き、要点だけを伝える傾向が強い人もいます。
時間のロスや業務効率という面では一定のメリットがありますが、人によっては事務的で冷たいと受け取ってしまうことも。
「冷たい」「話しにくい」という印象を持たれると、業務上綿密なコミュニケーションが必要なときでも、距離を置かれてしっかりした連携が取れなくなる可能性があります。
人の話を聞かず、持論展開に終始する
エンジニアは問題解決に集中するあまり、相手の話を十分に聞かず、自分の考えをすぐに展開してしまうことがあります。
たとえば、要件を説明している最中に「それはこうした方が効率的です」や「技術的に難しいので別の方法がいいです」とアドバイスや提案を返すことが多いです。しかし、相手はまだ自分の意図や要望をすべて伝えきれておらず、「話を聞いてもらえなかった」と感じてしまいます。
上から目線、偉そうだと思われてしまう言動
エンジニアは、専門知識や技術的な裏付けを持って仕事を進めるため、自信を持って説明や指摘をする場面が多くありますが、ミーティングなどで質問を受けた際に「それは基本的なことなので」「この分野についてあまりご存じないようですが……」といった前置きをすると、「小馬鹿にされた」「知識をひけらかしている」と感じられてしまうことがあります。
他部署の要望に対して慎重になりすぎる
エンジニアは技術的リスクやシステム全体の整合性を意識するため、他部署からの要望に対して慎重な姿勢を取ることが多く、これが「非協力的」や「前向きでない」と見られる原因になることがあります。
たとえば、他部署から「今期中にこの機能を追加してほしい」と依頼があった際、「それは現実的ではありません」とリスクを理由に断る場合、相手には「協力する意欲がない」と映ることがあるのです。エンジニアとしては冷静に判断しているつもりでも、相手からは「むかつく」「突き放された」と感じられてしまうことがあります。
感情に無関心な態度
エンジニアは効率的かつ論理的に問題解決を優先する傾向があるため、他の同僚の感情やチーム内の空気をあまり意識しないことがあります。
たとえば、誰かが問題に対して悩んでいるとき、良かれと思って「その問題はこうすれば解決できる」と冷静にアドバイスしたものの、周囲には「冷たい」「人の気持ちを考えていない」と受け取られてしまう場合があるでしょう。励ましや共感の感情があまり感じられない言動は、誤解される一因になってしまうのです。
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コミュニケーションを疎かにするエンジニアに待ち受ける事態とは?
「エンジニアとしてやるべきことをやり、結果を出していればいい」。
こう主張するエンジニアもいるとは思いますが、会社員であれ、フリーランスであれ、仕事は”相手”あってのもの。
仕事仲間やクライアントとのコミュニケーションが滞ると、次のような事態が起こる可能性があります。
チーム内の連携が崩れ、作業効率が低下する
エンジニアがコミュニケーションを疎かにすると他のメンバーが作業内容や進捗を正確に把握できなくなることがあります。
たとえば、プロジェクトの締め切り直前になって「もっと早く伝えてほしかった」と言われるような情報の遅れや認識のズレが発生し、プロジェクト全体の進行が滞ってしまうことが多いです。こうしたミスコミュニケーションは、チームの信頼関係や全体の作業効率に悪影響を与えかねません。
クライアントや他部署との期待がズレて信頼が低下する
クライアントや他部署の同僚とのコミュニケーションが十分でないと、期待する成果と実際の成果にズレが生じやすくなります。たとえば、クライアントが求めていた機能や仕様が実装されていなかったり、逆に必要以上の部分に時間をかけすぎたりすると、「要望を正確に理解してもらえなかった」と不満を抱かれ、社内・社外両方の信頼関係にひびが入ることがあります。
協調性の欠如が評価を下げ、キャリアに影響する
「話が通じにくい」「協調性に欠ける」と見なされると、昇進やプロジェクトリーダーのポジションなど、キャリアに重要な役割を任されにくくなる可能性があります。
また、同僚からのサポートや協力を得にくくなり、自身が孤立してしまう場合もあるでしょう。このような状態が続くと、「一緒に働きたくない」というマイナスの評価につながり、いくら技術力が高くてもエンジニアとしての本来のスキルを発揮できず、活躍が制限されてしまうリスクがあるのです。
話が通じない・会話ができないエンジニアにならないためにエンジニアが心がけるべきこと
エンジニアとして高い技術力を持つことは重要ですが、コミュニケーション能力も同様に重要です。
話が通じない・会話ができないと周囲から評価されてしまうと、自身のキャリアやプロジェクトの成功にも悪影響を及ぼしますから、エンジニアはコミュニケーションで次のような点を心がけましょう。
専門用語を噛み砕いて説明する
非エンジニアと技術的な話をする際は、専門用語や略語をそのまま使うのは避けましょう。
「このAPIはRESTfulで、JSON形式のレスポンスを返します」と説明しても、相手は理解しづらいです。この場合、「この仕組みは他のサービスと情報をやり取りできて、結果は読みやすい形式で返されます」といったように、相手の知識レベルに合わせて噛み砕いて説明しましょう。
相手の話を最後まで聞く
問題解決に集中するあまり、相手の話を途中で遮ってしまうことはやめましょう。
たとえば、要件を伝えている最中に「それは難しいですね」と結論を急ぐと、相手は「話を聞いてもらえなかった」と感じてしまいます。相手の意図や背景を理解するためにも、最後まで話を聞き、必要に応じて質問をする姿勢が大切です。
共感の意識を持つ
相手の立場や感情に寄り添うことで、信頼関係を築くことができます。
ライアントがシステムの不具合で困っている場合、「それは大変でしたね。早速対応策を考えましょう」と共感の言葉を添えることで、相手は安心感を持ちます。相手の感情を無視せず、相手の気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。
フィードバックは建設的に
問題点を指摘する際は、否定的な表現を避け、改善策を提案するようにしましょう。
たとえば、「このコードは全然ダメです」ではなく、「この部分をこうするともっと効率的になります」と伝えると、相手も受け入れやすくなります。建設的なフィードバックは、チーム全体の成長にも繋がるでしょう。
適度な雑談で関係を深める
業務以外の話題を共有することで、チーム内のコミュニケーションが活性化します。
昼休みに趣味や週末の過ごし方について少しだけでも話すことで、相手との距離が縮まります。ただし、相手の忙しさやプライベートに配慮し、無理強いはしないようにしましょう。
情報共有を積極的に行う
自分の作業状況や問題点をチームに共有してミスコミュニケーションを防ぎましょう。
「話したところでエンジニア以外にはわからないから意味がない」などと自分だけで黙々と作業を続けることは避けてください。週次ミーティングで進捗報告を行ったり、問題が発生した際にすぐに相談したりすることでチーム全体の効率が向上しますし、チームとしての一体感が生まれます。
フリーランスの場合は特にコミュニケーションを重視する
エンジニアがフリーランスとして働く場合、コミュニケーション能力は技術力と同じぐらい重要になります。クライアントとの信頼関係が直接、仕事の継続や新規案件の獲得につながるからです。
これからフリーランスとして独立する、またはすでに独立しているエンジニアは次のような点に注意しながらクライアントとコミュニケーションを取りましょう。
・要件の明確化
初期段階でクライアントの要望をしっかりとヒアリングし、不明点はその都度確認しましょう。たとえば、「この機能はユーザーがどのように使うことを想定していますか?」と具体的に質問をすることで、ミスを防げます。
・定期的な進捗報告
プロジェクトの進行状況を定期的に報告することで、クライアントに安心感を持ってもらえます。報告内容は簡潔に、しかし必要な情報は漏れなく伝えましょう。
・素早いレスポンス
問い合わせや連絡に対して迅速に対応することで、信頼度が高まります。忙しい場合でも、受領した旨を一報入れるだけで相手の不安を和らげることができます。
・プロフェッショナルな態度
「納期は必ず守る」「契約内容を遵守する」など、基本的なビジネスマナーを徹底しましょう。問題が発生しそうな場合は早めに連絡し、代替案を提案することが大切です。
非エンジニアがエンジニアとの会話で注意することは?
エンジニアと円滑なコミュニケーションを図るためには、非エンジニア側もいくつか注意すべきポイントがあります。
エンジニアとの会話でいつも微妙なすれ違いがあり、業務がうまく進行しない場合は、次のような点に注意してみましょう。
要望は具体的に伝える
抽象的な指示は誤解を生む原因になります。たとえば、「もっとユーザーフレンドリーなデザインにしてほしい」という要望では、エンジニアは具体的な行動に移しにくいです。
代わりに、「ボタンの色を青から緑に変更し、文字サイズを14ptから16ptにしてください」と具体的に伝えると、エンジニアもスムーズに対応できます。
技術的な制約があることを理解する
エンジニアリングには技術的な限界があります。たとえば、「明日までに新機能を追加してほしい」という無理な依頼は避けましょう。
エンジニアに「この機能の実装には通常どれくらい時間がかかりますか?」と相談することで、現実的なスケジュールを立てることができます。
コミュニケーションの頻度と方法を調整する
エンジニアは集中力が求められる作業が多いため、頻繁なミーティングや突然の呼び出しは生産性を下げることがあります。緊急でない場合はメールやチャットで連絡し、ミーティングの予定は事前に共有しましょう。
相手の専門性を尊重する
エンジニアの専門知識やスキルを尊重する姿勢も大切です。
たとえば、「この程度の修正ならすぐできるでしょ?」といった言い方は避け、「お忙しいところ恐縮ですが、この修正をお願いできますか?」と丁寧に依頼することで、良好な関係を築けます。
フィードバックを明確に伝える
成果物に対するフィードバックは具体的かつ建設的に行いましょう。
たとえば、「この機能は使いにくい」と漠然と言うのではなく、「このボタンをクリックした後の遷移がわかりにくいので、確認ダイアログを追加していただけますか?」と具体的に伝えると、エンジニアも改善しやすくなります。
まとめ
エンジニアとして高い技術力を持つことは素晴らしいことですが、それだけでは真に優れたプロフェッショナルとは言えません。技術とコミュニケーションの両輪が揃って初めて、プロジェクトの成功やキャリアアップにつながります。
コミュニケーションは「苦手だから」と諦めるのではなく、努力次第で必ず改善できるスキルです。自分自身の成長のため、そして周囲との協力を深めるためにも、ぜひ円滑なコミュニケーションを心がけてください。
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