エンジニア2年目の平均年収はどのくらい?年収に影響するポイントや転職で年収アップできる可能性についても解説
基礎的なスキルや業務プロセスを学ぶのが1年目だとすると、2年目にはそれらを実践で活用し始める段階。簡単なタスクだけでなく、少し複雑な仕事を任されている2年目エンジニアも多いはずです。
そうなると気になり始めるのが年収のこと。
今すぐ年収を上げたいというわけではないものの、3年目に掲げる目標の参考として2年目ならどのくらいの年収が妥当なのか知りたいところではあります。
そこで、ここではエンジニア2年目の平均年収や、それに影響する要因、さらには転職による年収アップの可能性について解説します。
目次
エンジニア2年目の平均年収はどのくらいなのか?
経験2年目の若手であれば、どのようなプロジェクトにも対応できるスキル・経験があるとは言えず、年収もそれほど多くは期待できない段階にあります。
エンジニア2年目の平均年収は380万円前後
転職サイト「doda」が公開しているIT・Web転職情報によれば、ITエンジニアの平均年収は452万円です。(2023年12月時点)そして、20代のITエンジニアの平均年収は380万円。エンジニア2年目の多くは20代の若手だと仮定すれば、この380万円前後の年収が妥当なラインだと思われます。
(参考:doda「ITエンジニアの平均年収はいくら?給料アップを目指す方法や転職事例も解説」)
もちろん、所属企業の規模や分野にもよりますが、まだまだ若手である2年目エンジニアでは年収に大きな差がつきにくいと言えるでしょう。
それは次の職種別、分野別の平均年収を見てもわかります。
<職種別>エンジニア2年目の平均年収
・システムエンジニア:400万円から450万円程度
システムエンジニアはSI(システムインテグレーター)業界での需要が高いです。
SI業界は企業の業務効率化や情報システムの最適化を担うため、景気に左右されにくい安定した市場であるため、2年目の若手であっても平均年収は約400万円から450万円程度と比較的安定した水準にあります。
経験2年目になると要件定義や設計の初期段階に関与し始めることが多く責任が増す一方で、その分年収も徐々に上がっていくことが一般的です。
・Webエンジニア:350万円~450万円程度
ECサイトやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)など、オンラインサービスの拡大に伴い、需要が高くなっているWebエンジニア。平均年収は350万円~450万円程度ですが、この幅はエンジニアのスキルやプロジェクトの規模、担当する技術スタックによって大きく異なります。
2年目のWebエンジニアはフロントエンドやバックエンドの専門スキルを磨き、より高度な機能の開発や、ユーザー体験の改善に直接関わることが求められます。スキルが評価されれば、3年目以降で年収が急上昇することも珍しくありません。
・インフラエンジニア:400万円~480万円程度
SES(システムエンジニアリングサービス)やソフトウェア業界でのプロジェクトに携わることが多く、平均年収は約400万円から480万円程度と、比較的高めに設定されています。
年目のインフラエンジニアは、オンプレミスからクラウドへの移行プロジェクトや、セキュリティ強化のための施策など、より高度な業務に携わる機会が増えます。このようなプロジェクトでの経験が豊富になれば、年収はさらに高くなる可能性が高いでしょう。
<業界別>エンジニア2年目の平均年収
・SI(システムインテグレーター):420万円~460万円程度
IT業界の中では比較的安定した分野であり、着実に年収を上げられます。
・SES(システムエンジニアリングサービス): 380万円~440万円程度
プロジェクト単位の契約が多く、高単価のプロジェクトに参画できればこれ以上の年収も見込めます。
・インターネット・Web業界:350万円~450万円程度
技術革新が急速に進む分野。スキルアップにより年収が大幅に増える可能性があります。
・ハードウェア:400万円~450万円程度
ハードウェアはソフトウェアに比べて製品ライフサイクルが長い傾向にあるため、製造業に近い安定性がありますが、スキルに応じて年収が変動します。
・ソフトウェア:390万円~470万円程度
特にクラウド関連のスキルがあると高収入が期待できます。
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経験2年目のエンジニアに求められるスキル
エンジニアとして2年目を迎えると、基本的なスキルや業務の流れに慣れてきたことで求められるスキルレベルが1年目とは異なってきます。
この時期のエンジニアには単に指示された作業をこなすだけでなく、次のようなスキルが求められますし、これらのスキルの有無が今後昇給または転職で年収を上げられるかどうかの分かれ目になるでしょう。
1. 自己解決能力
2年目のエンジニアに求められる最も重要なスキルの一つは、自分で問題を発見して解決する能力です。
これには単にコードを書く技術だけでなく、システム全体を理解し、どの部分がボトルネックになっているかを見極めるスキルが含まれます。このスキルが身に付けばプロジェクトの成功はもとより、自分の市場価値を高めることができるでしょう。
2. 基本的なプロジェクト管理スキル
2年目には複数のタスクを効率的に管理し、優先順位をつけて進める能力も求められます。
プロジェクト全体の流れを把握し、スケジュールやリソースを効果的に管理できるようになれば、チームをまとめるPL(プロジェクトリーダー)になって年収が上がることも十分可能です。
3. 高度なコミュニケーションスキル
2年目になれば技術力だけでなく、効果的なコミュニケーションもがんばりたいところです。
特に、他のチームメンバーやクライアントと円滑にやり取りし、自分のアイデアや技術的な判断を明確に伝える能力は、プロジェクトの成功と自分の評価に直結します。
4. 技術の深掘りと専門性の習得
2年目の段階で特定の技術分野を深堀し、専門性を持つ準備をしておくことは今後のキャリアを築くうえで非常に重要です。
たとえば、セキュリティやパフォーマンス最適化、データベース管理などの分野で深い知識を習得することで、他のエンジニアとの差別化が図れます。このような専門性は、より高収入なポジションへのステップアップに欠かせません。
毎日の業務で忙しいとは思いますが、エンジニアは得意分野と専門性を持つことでキャリアアップしていく職種であることを忘れず、コツコツ学ぶ努力をしていきましょう。
5. 最新技術への適応能力
技術の進化が速いIT業界では常に最新の技術に適応できる能力が求められます。
新しいフレームワークやツール、プラットフォームに対する理解を深め、実際のプロジェクトに応用できるスキルを持つことは今後の収入増加に大きく影響しますから、さほど興味がないものでも最低限のキャッチアップはがんばりたいところです。
スキル・経験以外でエンジニアの年収を左右する要因
エンジニアとしてのスキルや経験は年収に直接影響を与える重要な要素ですが、実はそれ以外にも年収を左右する要因がいくつか存在します。キャリアの早い段階からこのような要因をあらかじめ理解しておけば、近い将来の年収アップに必ず役立つので覚えておきましょう。
勤務する企業の規模や業界
企業の規模や業界はエンジニアの年収に大きな影響を与えます。
たとえば、大手企業や急成長中のスタートアップでは給与水準が高く設定されていることが多いです。また、金融や医療、テクノロジー分野などDX化が叫ばれている業界ではIT人材の需要が高く、それに伴い年収も高めに設定される傾向があります。一方で、比較的小規模な企業や伝統的な業界では若手の年収が抑えられることがあるため、自分がどの企業・業界で働くかは重要なポイントになります。
勤務地
都市部(特に東京や大阪など)では生活コストが高いため、それに見合う形で年収も高く設定されることが一般的です。
一方、地方の企業では、都市部ほどの高い年収が期待できない場合もあります。現在の居住地では希望する年収を提示する企業がない場合、都市部への転居を検討する必要があるかもしれません。
業務内容や役職
同じ企業内でも担当する業務や役職によって年収が大きく異なることがあります。
たとえば、経験2年目で早くもPMやPLといった役職に就くと責任が増す分、報酬も高く設定される傾向にあります。
また、専門性の高い業務(例えば、セキュリティエンジニアやデータサイエンティスト)に携わる場合も通常より高い年収が期待できます。そのため、今の仕事から考えられるキャリアパスを早い段階で目指すことも年収アップにつながります。
会社の評価制度
各企業には社員の業績を評価し、それに応じて年収を決定する評価制度があります。
そのため、この評価制度の仕組みを理解し、それに沿って成果を上げることが年収アップの鍵となります。短期的なプロジェクトの成果が評価されやすい企業もあれば、長期的な貢献や積極的な提案などが重視される企業もありますし、役職者になれば給与がぐんとアップする企業もあるでしょう。自分が働く企業の評価基準を理解し、それに合わせて行動するとこも大切です。
資格
取得した資格も年収に大きな影響を与えます。
AWS認定資格やPMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)、応用情報技術者試験などの資格は特に評価が高いので、昇進や転職の際に有利になるでしょう。
また、企業によっては資格取得を奨励し、そのための手当を支給する制度を設けているところもあります。
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交渉力
年収は必ずしも企業側の一方的な決定ではなく、交渉によって引き上げることができる場合もあります。
転職での面接や人事考課面談のタイミングでは自分のスキルや市場価値をアピールすることを怠らないようにしましょう。
エンジニア2年目で年収アップのための転職はアリ?~現職での昇給も検討を~
エンジニアとして2年目を迎えると、年収アップを目的とした転職を考える人も少なくありません。
転職市場で若手エンジニアの需要は非常に高いため、2年目という早い段階で転職を検討するエンジニアも少なくはありませんが、実際にところはどうなのでしょうか。
2年目の転職は可能か?
結論から言うと、2年目での転職自体は可能ではあります。
ただし、経験2年ではスキルや知識が十分と判断されることは少なく、多くは今後の成長を見込んだポテンシャル採用となるでしょう。つまり、この段階での転職は即戦力としての評価よりも、将来性や意欲を重視されることになります。
年収アップは実現可能か?
ポテンシャル採用の場合、転職しても大幅な年収アップにつながるかどうかは定かではありません。企業は将来的な成長を見込んで採用を決めるものの、結局は現時点でのスキルに基づいて年収が決定されるため、年収がさほど上がらない可能性が考えらえるからです。
しかし、年収が上がりやすい企業に転職することは将来の年収アップには有効でしょう。
たとえば、成長中の企業や業績の良い企業は優秀な人材を確保するために年収が上がりやすい給与体系を採用していることが多いです。給与制度が明確で、スキルアップや実績に応じた昇給が期待できる企業はこうした一例で、転職を検討する際の重要なポイントになります。
転職にはリスクもある
転職にはリスクも伴います。特に、現職での評価や実績がまだ十分でない場合は転職先においても評価が難しく、しばらくは年収が上がらない可能性も考えられるからです。
また、新しい職場の文化や働き方に適応できるかも重要なポイントです。こういった点が合わなかった場合は年収を上げるより前に退職となることもありえるでしょう。
したがって、転職を検討する際は短期的な利益だけでなく、長期的な視点で判断するよう心がけましょう。
転職を急がず、今の職場で実績を積み、昇給を目指す努力を続けることも選択肢の一つです。
「何もできない」と感じている2年目エンジニアはどうすればいい?
2年目の若手エンジニアのなかには1年目で覚えた基本的なスキルや知識は身についたものの、自分がまだまだ「何もできない」と感じることがあるかもしれません。
このような不安は多くの若手エンジニアが抱える悩みです。しかし、この段階で感じる不安や焦りは成長のための重要なステップでもあります。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
まずは自分のスキルと知識を棚卸しする
まず、現時点で自分がどのようなスキルや知識を持っているのかを確認しましょう。
たとえば、どのプログラミング言語をどの程度扱えるのか、過去にどのようなプロジェクトに関わったのかをリストアップすることで、自分の強みや得意分野を再認識できます。意外にも多くのことができる自分に気付くかもしれません。
小さな成功体験を積む
2年目は、まだ大きなプロジェクトをリードする段階ではなくても、チームの一部をサポートする形で新しい技術を試したり、業務の効率化を図るツールを提案したりすることで、小さな成功体験を積むことができます。
「できたこと」は迷わず成功体験として捉えましょう。
積極的に学び続ける
「何もできない」と感じたときは、逆に新しいことを学ぶチャンスだと捉え、オンラインの講座や勉強会に参加し、最新の技術や知識を身に付けましょう。
学ぶ内容を現在の業務で使っている言語・分野にすれば、学んだことをすぐに実践して学習を確実に自分のものにすることができます。
フィードバックを求める
自分の成長を加速させるためには、先輩や上司からのフィードバックを積極的に求めることが重要です。
自分では気付かない視点からアドバイスをもらうことで、改善すべき点や強化すべきスキルが明確になります。厳しい評価であっても、がんばって受け止めて成長の糧にしたいものです。
無理に転職を考えない
「何もできない」と感じて焦っているときに転職を考えても良い結果は得られません。
まずは現在の職場でスキルアップや実績を積むことに集中しましょう。転職自体はスキルや経験を十分積んでからでも遅くはありません。今の職場でできる限りの努力を続け、その後、自信を持って転職に臨むことが、結果的に年収アップやキャリアアップにつながります。
まとめ
エンジニア2年目は、基礎を固めつつ新しいことを学び、それを実務に活かしながら成長する重要な時期です。
焦らずに自分のペースでスキルを磨き、適切なタイミングで転職や昇給を目指すことが、エンジニアとしての充実したキャリアにつながります。今後の成長を見据えて自分に合った戦略を立てて、着実にステップアップしていきましょう。
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